映像の世紀バタフライエフェクト「ロックが壊した冷戦の壁」

メルケルアインシュタイン相対性理論を理解するために物理学を志し、しかし東独の自由のない状態における研究の日々を無為に過ごし、壁崩壊のあとには政治の領域に出ていったということ。超越に対する関心が、その後具体的な政治社会における公正の実現という内在の方向へ進んだ。自分なりにこのように整理する言葉を見出したということが、一つの座標軸の中で共感を持って他者を位置付けることを可能にした。メルケルの伝記など読んでみたい。人の考えのレンジに思いを致すと、その人の思想的な器の大きさと関係するのではないかと思わされる。

・強く感じたのは旧ソ連陣営の国々にとって共産主義体制の崩壊が加藤典洋がいう思想の「一階部分」を作り上げたのではないかということ。ドイツはその意味で戦後二回の大きな思想的衝撃にさらされたのではないだろうか。挫折の経験がある種の地に足つけた普遍性を獲得するうえで役割を果たす。